市民活動団体の定義
私たちは、NPO(NonProfit Orgnization)の日本語訳として「市民活動団体」を用います。
ここでいう「市民活動団体(NPO)」とは、政治団体・宗教団体を除く次のような団体と考えます。
(1)目的性・公的利益性
公益(不特定多数)もしくは共益(特定多数)の寄与を目的とする団体。
(2)継続性・民間性
目的の社会的達成のため、民間により公式に設立・維持(その活動の継続性を確保)される団体。(ただし、任意団体も含み、かつ法人格は不問)
(3)自主性
有志による自発的かつ民主的な運営と、意思決定の自主性が保たれ、かつ活動に関して開かれている団体。
(4)非営利(利益不配分)性
目的達成に必要な活動資金(事業費・専任スタッフの報酬等)を得るための事業からの収益は、役員など個人に対して配分せず、本来活動のために再投資する団体。
なお、市民とは「より良い地域社会づくりに参画すべく志を持つ人々」と考えます。
参考
レスター・M・サラモン教授(米国ジョンズ・ホプキンス大学)による定義
『米国の「非営利セクター」入門』(入山映訳、ダイヤモンド社1994.3刊)による非営利セクターに固有な6つの特徴(政治団体・宗教団体を除く)。
- 公式に設立されたもの : 未法人化団体も含む
- 民間 : 政府機構の一部でない、役人の統制下にない
- 利益配分をしない : 組織所有者・創立者等に非配分
- 自主管理 : 外部団体によって管理されない
- 有志によるもの : 有志による自発的参加
- 公益のためのもの : 公共の利益に寄与する
なお、同書の「日本語版への序文」には、大変興味深い指摘がありますので、次に冒頭の一部分を引用・紹介します。詳細は、同書をお読みください。
欧米で知る人は少ないが、日本のフィランソロピーと非営利活動は、豊かで顕著な歴史を持っている。早くは七世紀に、大規模な仏教寺院ではその末寺も含めて病める者、飢えたる者に施しを行った事実が記されており、親なき子、老いたる者のために喜捨を集めた勧進講は日本古来の社会的伝統であった。仏教の衰退にもかかわらず、このような活動は江戸時代の何千という寺子屋、あるいは大阪の大商人による私塾の成立にも明らかなように、存続し続けた。一八二九年における日本の民間助成財団の発祥ともいうべき秋田観音講の成立は、アメリカの最初の大型財団に先駆けること八〇余年である。
しかしながら、一九世紀後半から二〇世紀前半にかけての日本の迅速な近代化は、自主的な非営利組織を育む余地をほとんど持たない中央集権化をもたらした。さらに、政府による社会福祉の普及は、公的扶助に取り残された谷間を埋める非営利セクターの活動にとってマイナスに機能し、このセクターへの依存度は低下した。(中略)
しかし、近年になってフィランソロピーと非営利活動の伝統的な日本的パターンが再び台頭してきているようである。経団連は「一パーセントクラブ」を創設するとともに、コーポレート・フィランソロピーを促進しており、大阪ではコミュニティ財団が設立され、また文化・スポーツ・教育・保健・社会事業・村おこしなどの分野で多数の市民団体が誕生している。...
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